開催報告「日本研究の国際化とは何かを東アジアから考える―『東アジア文化講座』全4巻の刊行に寄せて」

オンラインワークショップ「日本研究の国際化とは何かを東アジアから考える―『東アジア文化講座』全4巻の刊行に寄せて」

  • 日時:
    2021年7月24日(土)10:00~12:00(JST)
    2021年7月23日(金)21:00~23:00(NYT)
  • 発表者:小峯和明(立教大学名誉教授、角田柳作記念国際日本学研究所招聘研究員) 、
    染谷智幸(茨城キリスト教大学教授)、ハルオ・シラネ(コロンビア大学教授)、
    金文京(京都大学名誉教授)
  • 司会:李成市(文学学術院教授、角田柳作記念国際日本学研究所所長)、
    河野貴美子(総合人文科学研究センター所長、文学学術院副学術院長)
  • 開催方式:Zoom
  • 主催:角田柳作記念国際日本学研究所・スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点

本ワークショップは、2021年3月に文学通信から刊行された、染谷智幸、金文京、小峯和明、ハルオ・シラネ編『東アジア文化講座』全4巻の刊行を記念して企画・開催されたものです。

最初に本学教授の李成市氏から、本講座について、150名を超える多彩な執筆陣をそろえ、日本文学・日本文化を東アジア文化圏から捉えなおすことで、日本研究の国際化のあるべき姿を指し示そうとする壮大な試みである旨、今回のワークショップは、その刊行を記念して、それぞれの巻の編者4名にお話をいただく運びとなった旨、趣旨説明が行われました。(動画①)

続いて、第3巻『東アジアに共有される文学世界 東アジアの文学圏』の編者、小峯和明氏(立教大学)による基調講演では、海外の日本研究が急速に進展している中で、日本語のみによる日本研究、一国内に限定した内向きの研究の限界に対する危機感が示されました。そして、現代の世界共通語としての英語(普遍語)と、地域語・現地語のせめぎ合いという状況のなかで、日本だけでなく、東アジア=漢字・漢文文化圏という広域文化圏での連携的な研究の重要性を指摘されました。(動画②)

次に、他の3名からそれぞれの巻のねらいについてお話をいただきました。第1巻『はじめに交流ありき 東アジアの文学と異文化交流』の編者、染谷智幸氏(茨城キリスト教大学)は、東アジアにおける交流を、周辺と亜周辺という観点に注目されるとともに、グローバル化における経済が、いつから文化・文明の基盤となっていったのかという問題にも言及されました。(動画③)

第4巻『東アジアの自然観 東アジアの環境と風俗』の編者、ハルオ・シラネ氏(コロンビア大学)は、学際的研究の重要性に言及される中で、コロンビア大学での東アジアに関する学際的な授業実践を示され、具体例として、「中世御伽草子とDisability Studies 障害学」を取り上げられました。(動画④)

第2巻『漢字を使った文化はどう広がっていたのか東アジアの漢字漢文文化圏』の編者、金文京氏(京都大学)は、東アジアにおける漢字・漢文に対する向き合い方が、時代・地域ごとに、時には政治的要因も交えながら変遷していることを提示されました。例えば現代日本におけるキラキラネームに代表されるような、漢字知識の低下を背景の一つとする漢字の恣意的な読み方の広がりを危惧し、一定の読みを持つ文字としての範疇を逸脱しつつあることを指摘されました。(動画⑤)

最後に、当日の参加者と4名の報告者との質疑応答が、本学教授の河野貴美子氏の司会のもと行われました。研究者のみならず学生からも質問がなされ、いずれについても、現状の日本における日本や東アジア研究の問題点打破に繋がり得る、活発かつ重要な議論が行われました。以上を通して、日本・東アジア研究における国際化・学際化への更なる進展が期待されるなか、本ワークショップは閉会となりました。(動画⑥)

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